リズムの基礎は 拍子・表拍と裏拍・シンコペーション の3つに分けると整理しやすくなります。拍子は「1小節に拍がいくつあるか」、裏拍は「拍と拍のあいだ」、シンコペーションは「本来弱い位置にアクセントを置いて、強拍の感覚をずらすこと」です。
速さ(BPM)の話はBPMとテンポ感で扱ったので、この記事では拍の並びかたとアクセントの位置に絞ります。
拍子 — 1小節に何拍あるか
拍子記号は分数のような形で書かれ、下の数字が1拍の音符の種類、上の数字が1小節の拍数を表します。4分の4拍子(4/4)なら「四分音符を1拍として、1小節に4拍」です。
| 拍子 | 1小節の中身 | 強弱のおおまかな型 | 数えかたの例 |
|---|---|---|---|
| 2/4 | 四分音符×2 | 強・弱 | 1・2 |
| 3/4 | 四分音符×3 | 強・弱・弱 | 1・2・3 |
| 4/4 | 四分音符×4 | 強・弱・中強・弱 | 1・2・3・4 |
| 6/8 | 八分音符×6 | 強・弱・弱・中強・弱・弱 | 1・2・3・4・5・6 |
3/4 と 6/8 はどちらも「3つずつのまとまり」を感じる拍子ですが、3/4 は1小節を3拍で数え、6/8 は八分音符3つを1組にして大きく2拍で数えるのが一般的とされています。同じ6個の八分音符でも、3/4 なら「2個ずつ×3」、6/8 なら「3個ずつ×2」とまとまりかたが違います。
ポピュラー音楽で最も多く使われるのは 4/4 で、ワルツは 3/4、ゆったりしたバラードやブルースの一部で 6/8 や 12/8 が使われることが多いと言われます。
表拍と裏拍 — 「1と2と」で数える
4/4 の1拍を半分に割ると、八分音符2つになります。前半を表拍、後半を裏拍と呼びます。声に出すときは「1と2と3と4と」と数え、「と」の位置が裏拍です。
さらに四分音符を4つに割ると十六分音符になり、「1いと2いと…」のように数える方法がよく紹介されています(「い」「と」「え」など流派によって言いかたは異なります)。
| 分割 | 1拍の中の数えかた | 裏にあたる位置 |
|---|---|---|
| 四分音符 | 1 | — |
| 八分音符 | 1・と | 「と」 |
| 十六分音符 | 1・い・と・い | 2番目・3番目・4番目 |
ドラムの基本形で言えば、ハイハットが八分音符で「1と2と…」を刻み、キックが1拍目と3拍目、スネアが2拍目と4拍目に入るのが代表的な型です。2拍目と4拍目は4/4の中では弱拍にあたるので、そこにスネアを置くこと自体が弱拍を強調するしくみになっています。これを「バックビート」と呼びます。
シンコペーション — 強拍の位置をずらす
シンコペーションは、弱拍や裏拍にアクセントを置き、そのまま次の強拍にタイでつなぐなどして、拍の強弱の感覚をずらすリズムです。
たとえば「1と2と3と4と」で、次のように音を置いたとします。
- 通常:1・・・3・・・(強拍の1と3で鳴る)
- シンコペーション:1・・と・・・・(2拍目の裏で鳴らし、3拍目は伸ばしたまま)
3拍目という強い位置で新しい音が鳴らないので、耳は「1つ手前で鳴った」と感じます。これが前のめりな推進力を生むと説明されることが多いです。
「食い」— コードを半拍早く出す
J-POPやロックの現場では、シンコペーションの一種として 「食い」(アンティシペーション)という言いかたがよく使われます。次の小節の頭で鳴らすはずのコードを、前の小節の最後の裏拍で先に鳴らす手法です。
Cメジャーで、1小節ずつ C → F → G → C と進む場合を考えます。
| 置きかた | Fが鳴るタイミング |
|---|---|
| 通常 | 2小節目の1拍目 |
| 食い(八分) | 1小節目の4拍目の裏 |
| 食い(十六分) | 1小節目の4拍目の最後の十六分 |
コードの並び自体は同じでも、切り替わりが前に寄るだけで印象が変わります。トニック・サブドミナント・ドミナントの流れを保ったまま動きだけを足せるので、アレンジで調整しやすい要素です。
メロディにも同じ考えかたが使えます。歌い出しを小節の頭ではなく直前の裏拍から始めると、フレーズが前に転がるような感触になります。逆に、表拍だけで音を置くと落ち着いた印象に寄ります。どちらが合うかは曲ごとに変わるので、同じフレーズで両方を歌い比べてみると違いをつかみやすくなります。