オンコード(分数コード)は、コードのいちばん下で鳴らす音(ベース音)を、ルート以外の音に指定した和音です。「C/E」や「ConE」と書き、どちらも「C のコードを、E をベースにして鳴らす」という意味です。上の和音は変えずにベースだけを選べるので、ベースラインをなめらかにつなぐ道具として使われます。
ここでは Cメジャーを例に、表記の読みかた・2つの種類・ベースラインの作りかたの順に並べます。もとになるコードはダイアトニックコードとはで扱っています。
表記の読みかた:左がコード、右がベース
スラッシュの左側がコード、右側がベース音です。右側は単音で、コードではありません。
| 表記 | 上の和音 | ベース音 | 読みかたの例 |
|---|---|---|---|
| C | C・E・G | C | シー |
| C/E(ConE) | C・E・G | E | シー・オン・イー |
| C/G(ConG) | C・E・G | G | シー・オン・ジー |
| G/B(GonB) | G・B・D | B | ジー・オン・ビー |
| F/G(FonG) | F・A・C | G | エフ・オン・ジー |
バンドで演奏する場合は、ベース担当が右側の音を弾き、ギターや鍵盤が左側のコードを弾く、という分担で鳴らせます。
2つの種類:転回形と、構成音以外のベース
オンコードは、ベース音が上のコードの構成音かどうかで2つに分けて考えられます。
| 種類 | 例 | ベース音の位置づけ | 響きの傾向 |
|---|---|---|---|
| 転回形 | C/E、C/G、G/B | コードの3度や5度 | もとのコードの色を保ったまま、重心が変わる |
| 構成音以外のベース | F/G、G/C | コードに含まれない音 | 別のコードに近い、混ざった響きになる |
転回形は、構成音の並び順を入れ替えたものです。C/E は3度の E が、C/G は5度の G がいちばん下に来ます。ルートがベースにある形と比べると、落ち着きがやや薄れ、次へ進みやすい響きになるとされています。
構成音以外のベースの代表が F/G です。下から G・F・A・C となり、G をルートとして見ると、短7度(F)・9度(A)・完全4度(C)が乗った形です。G7sus4 に近い響きで、G7 の代わりにドミナントの位置へ置かれることがあります。sus4 についてはsus4・sus2コードとはにまとめています。
ベースラインをつなぐ1:順次進行にする
オンコードがよく使われるのは、ベースを隣の音へ1つずつ動かしたいときです。ルートだけで弾くと跳ぶところを、転回形でつなぎます。
C → G → Am → F → C → Dm → G という進行で比べます。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| コード | C | G/B | Am | Am/G | F | C/E | Dm | G |
| ベース音 | C | B | A | G | F | E | D | G |
ベースは C → B → A → G → F → E → D と音階を1音ずつ下り、最後に G へ跳んで C に戻る準備をします。Am/G の G は Am の構成音ではありませんが、Am7(A・C・E・G)の7度をベースに置いた形と見ることができます。
上りの例も作れます。C → Dm → C/E → F と並べると、ベースは C → D → E → F と上がります。3つ目を Em にせず C/E にすると、上の和音はトニックの C のまま、ベースだけが階段を上る形になります。
同じ考えかたでベースが下りる有名な形がカノン進行です。半音ずつ動かす場合はクリシェ進行で扱っています。
ベースラインをつなぐ2:ベースを動かさない(ペダルポイント)
逆に、ベースを同じ音にとどめて、上のコードだけを動かす使いかたもあります。これをペダルポイントと呼びます。
| コード | 上の和音 | ベース音 |
|---|---|---|
| C | C・E・G | C |
| F/C | F・A・C | C |
| G/C | G・B・D | C |
| C | C・E・G | C |
F/C は F の転回形(5度がベース)、G/C は構成音以外のベースです。ベースが動かないので、コードが変わっても場面は同じ場所にとどまって聞こえ、イントロや静かなセクションで使われることがあります。
並べて比べる
| 使いかた | ベースの動き | 例(Cメジャー) |
|---|---|---|
| 順次下降 | 1音ずつ下がる | C → G/B → Am → Am/G → F |
| 順次上行 | 1音ずつ上がる | C → Dm → C/E → F |
| ペダルポイント | 動かない | C → F/C → G/C → C |
| ドミナントの置き換え | ルートのまま | F/G → C |
譜面でオンコードを見かけたら、右側のベース音だけを順に書き出してみると、どの形に当たるかを確かめやすくなります。