ダイアトニックコードとは、あるキーのスケールの音だけを使って作った7つのコードのことです。Cメジャーなら C・Dm・Em・F・G・Am・Bdim の7つ。「そのキーの曲で、まず候補になるコード」と考えると分かりやすいと思います。
コード進行の話はほぼすべてここから始まります。王道進行(4536進行)の「4」「5」「3」「6」も、この7つを順番に数えたときの番号です。
作りかた:スケールの音を1つ飛ばしで3つ積む
Cメジャースケールは C D E F G A B の7音です。この並びの各音を「根音」にして、1つ飛ばしで3つ(1度・3度・5度)積むと、7つの三和音ができます。
| 根音 | 積む音 | できるコード |
|---|---|---|
| C | C・E・G | C |
| D | D・F・A | Dm |
| E | E・G・B | Em |
| F | F・A・C | F |
| G | G・B・D | G |
| A | A・C・E | Am |
| B | B・D・F | Bdim |
使っている音はどれも C D E F G A B のなかだけです。♯も♭も出てきません。これがダイアトニック(=そのキーの音階に収まっている)ということの意味です。
なぜメジャーとマイナーが混ざるのか
同じ「1つ飛ばしで3つ」なのに、C はメジャーで Dm はマイナーになります。理由は、メジャースケールの音の間隔が均等ではないからです。
コードの性格は、根音と3番目の音の距離で決まります。
- 根音から半音4つ(長3度)→ メジャー
- 根音から半音3つ(短3度)→ マイナー
C から E までは C→C♯→D→D♯→E で半音4つ、だから C はメジャー。D から F までは D→D♯→E→F で半音3つ、だから Dm はマイナーです。E と F の間、B と C の間だけ半音になっているスケールの構造が、そのままコードの性格の差になって出てきます。
Bdim(ディミニッシュ)だけは、3度も5度も短くなる特別な形です。B–D が半音3つ、D–F も半音3つで、短3度が2つ積み重なっています。不安定な響きで、使いどころが限られるコードです。
度数で書くと、キーが変わっても同じ
7つの並びは、キーが変わっても性格の順番は同じです。これをローマ数字(度数)で書きます。
| 度数 | I | ii | iii | IV | V | vi | vii° |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 性格 | メジャー | マイナー | マイナー | メジャー | メジャー | マイナー | ディミニッシュ |
| C メジャー | C | Dm | Em | F | G | Am | Bdim |
| G メジャー | G | Am | Bm | C | D | Em | F♯dim |
| D メジャー | D | Em | F♯m | G | A | Bm | C♯dim |
| F メジャー | F | Gm | Am | B♭ | C | Dm | Edim |
大文字がメジャー、小文字がマイナー、「°」がディミニッシュという書き分けです。
この表の使いかたは2つあります。ひとつは移調。Cメジャーで作った進行を G メジャーで演奏したいとき、度数さえ控えておけば縦に読み替えるだけで済みます。もうひとつは耳コピ。キーが分かれば候補が7つに絞られるので、当てずっぽうに探すより早くたどり着けます。
セブンスコードにするとどうなるか
「1つ飛ばし」をもう1つ続けて4つ積むと、セブンスコードになります。Cメジャーでは次のとおりです。
| 度数 | Imaj7 | iim7 | iiim7 | IVmaj7 | V7 | vim7 | viim7♭5 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| コード | Cmaj7 | Dm7 | Em7 | Fmaj7 | G7 | Am7 | Bm7♭5 |
ここで目立つのが V7(G7) です。7つのなかで「7」(セブンス)と書かれるのはこの1つだけで、他と違う響きを持ちます。この G7 が C に進みたがる感じが、後で出てくる「ドミナント」という考えかたにつながっていきます。
ダイアトニックの外に出るとき
実際の曲では、この7つに入っていないコードも普通に出てきます。Cメジャーの曲に E7 や B♭ が出てくる、といった具合です。
ただ、それらは「7つを知ったうえで、そこから外れる」ものとして扱われます。基準があるから外れが効く、という順序です。まず7つを表で押さえておくと、あとで借用和音や転調の話に入ったときに、何がどう外れているのかが見えやすくなります。