渋谷音楽史

渋谷の音楽史をざっくり辿る — 1970年代から現在までの街と音楽

渋谷の音楽史は、ひとつのジャンルやひとつの店の物語というより、**商業ビル、ライブハウス、レコード店、ホールが時代ごとに積み重なってできた「地層」**として見ると整理しやすくなります。この記事では、公式サイトで開業年や沿革を確認できた場所だけを手がかりに、1970年代から現在までをざっくり並べます。年代の区切りは目安で、流行の始まりと終わりを断定するものではありません。

年表として並べると

まず、公式サイトの記載で確認できた出来事を年順に置きます。

年 出来事(公式サイトの記載より)
1973年 渋谷PARCO が開業(2023年に50周年)
1981年 タワーレコード 渋谷店がオープン
1982年 道玄坂のライブハウス 渋谷La.mama がオープン
1988年 渋谷PARCO の一角に 渋谷クラブクアトロ がオープン
1995年 タワーレコード 渋谷店が大型店として移転オープン
2019年 建て替えを経て 渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)が開設
2021年 タワーレコード 渋谷店の6階に TOWER VINYL SHIBUYA がオープン

並べてみると、大きな商業施設ができ、その周りにライブハウスとレコード店が増え、のちに建て替えで場所が更新されていくという流れが見えてきます。

1970〜80年代 — 商業ビルと小さなステージ

1970年代の渋谷は、商業ビルの開業とともに「若者が集まる街」として語られるようになったとされています。渋谷PARCO の公式年表では、開業当初から劇場や展示スペースを持ち、買い物だけではない文化の場として歩んできたことが紹介されています。

1980年代に入ると、ライブハウスとレコード店が目立ちはじめます。渋谷La.mama は公式サイトで、1982年のオープン以来、ジャンルにこだわらず、アマチュアバンドの育成にも力を入れてきた会場だと紹介しています。1988年には渋谷PARCO の流れから渋谷クラブクアトロが生まれ、新しい書き手やサブカルチャーの担い手が次々とステージに立つ場所になったと、PARCO の年表に記されています。

演奏する場所が複数でき、坂ごとに違う顔を持ちはじめたのがこの時期だと整理できます。

1990年代 — レコード店が街の中心に

1990年代の渋谷は、輸入盤を扱うレコード店の多さとあわせて語られることが多い時代です。宇田川町周辺に店が集まり、店の棚そのものが「いま何を聴くか」を提案する役割を持っていた、とされています。この環境から「渋谷系」という呼び名が広まった経緯は渋谷系とは何だったのかで詳しく書いています。

同じ時期、タワーレコード 渋谷店は1995年に大型店として移転オープンしています。小さな専門店と大型店が同じ徒歩圏にあることで、「深く掘る店」と「広く見渡す店」を行き来できる街になっていった、と見ることができます。

深夜のクラブがレコード店と結びついて語られるのもこの時代からです。クラブの時間の流れは渋谷のクラブカルチャーの概略にまとめています。

2000年代以降 — 建て替えと、残り続ける場所

2000年代以降の渋谷は、再開発で建物が次々と更新されてきました。渋谷PARCO は一時閉店を経て建て替えられ、渋谷公会堂も建て替え工事ののち、2019年に LINE CUBE SHIBUYA として開設されています。

一方で、1980年代に開いたライブハウスが掲載時点でも営業を続けていたり、大型のレコード店の中にアナログ盤専門のフロアが新しくできたりと、変わる場所と続く場所が同時にあるのが、いまの渋谷の特徴です。歴史を「昔あったもの」としてだけでなく、現役の場所を歩いて確かめられるのは、音楽の街としての渋谷の面白さといえます。

いまの渋谷で歴史をたどる歩きかた

年表の場所を実際に歩くなら、エリアで分けると回りやすくなります。

  • 道玄坂〜円山町:ライブハウスとクラブが集まるエリア。会場の位置関係は渋谷のライブハウスはどこにあるかを参照
  • 宇田川町〜神南:レコード店と大型店、ホールがあるエリア

出かける前に各施設の公式サイトでスケジュールや営業日を見ておくと、その日に開いている場所を選んで回れます。

参考

掲載時点(2026年9月)に、以下の公式サイトで開業年・沿革の記載を確認しました。

関連